色彩について
色を扱う物にとって経験や感覚も大切ですが、やはり理論的な裏付けも重要と考えます。基本的で必要最低限の事柄ら記述していきます。
理論からのアプローチの成果はある一定のレベルを、ある程度保証されるものです。
その先の段階は各個人のアーティスティックな才能や個性の領域になっていきます。
可視光線
物が見えたり、色を感じたりすることが出来るのは、光があるためです。
光とか光線とか言われているものは電磁波でり、ある一定の波長域のものを可視光線と呼びます。
すなわち、およそ400nm(ナノメーター)~700nmの波長を人間の目が感じるということで、この波長域を可視光線と言っています。
これより波長の短いものを紫外線(VU=ウルトラバイオレット)、長いものを赤外線(IR=インフラレッド)と言われています。
人間には感じない可視光線外の波長を感じる動物もいます。紫外線、赤外線、以外にもX線、遠赤外線も電磁波です。
ここでは、人間は400nm~700nmの波長域を感じることが出来ると覚えておいて下さい。
光のスペクトル
自然光(太陽光線)は白色です。
この光を三角プリズムを透すと上図のスペクトルになります。
虹が出るのは中空の水滴がプリズムの役割を果したためです。
余談ですが、日本人は七色の虹といいます。虹の色数はお国によって異なるようです。七色は色数の多い国です。
日本人は色に対しての感覚が高いと言えるのでしょう。色を表現する言葉も多いです。萌黄色、唐紅、個人的な嗜好ですが、
童謡「城ヶ島の雨」に出で来る「利休ねずみ」という表現が好きです。
本題です。この白色光を分解すると様々な色になります。
逆に言えば、様々な色の光線を混ぜれば白色光になることです。
反射光
ある物体は光を受けて反射した光を反射光と呼ぶ。各波長域を平均して多く反射するのを白(反射率90%)
ほとんど反射しないのが黒(反射率10%)特定の各波長域を吸収すると色として認められる。(入射光以上の明るさの色にはならない)
透過光
フィルターとかフィルムを透過した光。特定の各波長域を透過すると色として認められる。
反射光、透過光いずれも各波長域の比エネルギーのバランスが崩れたものに色彩を感じる
三原色
この世には数限りない色が存在します。それらを出現せしめているのが三つの色、即ち三原色です。
これは人間の目が三つの光に感じる細胞を持っているとの仮説のもとで成り立っています。三原色は二種類あります。
<光の三原色>と<色材の三原色>です。
光の三原色・・・・・・・B(ブルー)、G(グリーン)、R(レッド)
三色の光を加えていくと白になります。加色法とか加算混合とかいわれます。
テレビやパソコンモニターなどはこの方法です。
色材の三原色・・・・・Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)
三色の色を加えていくと黒になります。減色法とか減算混合とかいわれます。オフセット印刷などはこの方法です。
Y、M、C三色混ぜても真っ黒になりませんので、墨(K)を加えます。
四色オフセット印刷と言うことです。無論、絵の具も色材です。
三原色を棒グラフでみていきます。
縦軸に比エネルギー(各色の相対的なエネルギーなので比です)
横軸に波長域(単純にして 400~500 500~600 600~700nmの三本の棒グラフです)
◆棒グラフの一本にエネルギーがあるときです。(これは光の三原色と同じです)
B
400~500
G
500~600
R
600~700
光の三原色と色材の三原色があるといいましたが、詮ずる所R、G、B
が三原色です。
この三本の棒グラフが高くなったり,低くなったりした組み合わせで様々な色が出来ます。
◆棒グラフの二本にエネルギーがあるときです。(これは色材の三原色と同じです)
Y
500 ~ 700
M
400~500 600~700
C
400 ~ 600
◆三本の棒グラフが同じ比率で高くなったり,低くなったりしています。
(三本とも同じ高さだと無彩色になります)
白
灰
黒
◆折れ曲線グラフに書き換えるとこのようになります。
白
ライトグレー
ダークグレー
黒
色は各波長域の均衡が崩れたときに認識できるのです。
色材の色では全ての光を反射すれば白、吸収すれば黒です。
ちなみに左図はグリーンの曲線グラフですが、左右のブルーとレッドを
吸収しグリーンを反射しているのでグリーンに見えるのです。
光の方の色も同様です。透過するか、しないかです。
色温度
自然光は白色と申しましたが一概にはそうとは言えません。
青空の下での光の色と、朝夕の光の色とでは違いがあります。
この違いを色温度で表します。絶対温度K(ケルビン)が単位です。
絶対温度0度は全ての物質の分子活活動が停止するところです。(摂氏マイナス273度)
ある黒体(何だか分からない)を熱していって得られる光。
高く熱するほど左図のグラフでは左の短波長側のグラフが高くなる。それに従い光は青くなる。
昼光は5000~6000Kでほぼフラットになり、白色となる。
晴天青空光は色温度が高く青くなり、朝夕は色温度が低く光は赤くなる。
普通の蛍光灯は緑で、白熱電球(タングステン)はあかい。
色を評価する時は光の色温度に気を配りたいものです。
■色の三属性
・明度・・・・・明るさです
・彩度・・・・・色の鮮やかさです
・色相・・・・・赤とか青の色の種類、様相です
明度、彩度、色相と三つの要素があります。
これを一括して表現するには三次元の立体が適しています。
ここでは色相を一つ選び平面で説明します。
左図の左縦一列は彩度がゼロの無彩色です、
一番上が白、下が黒で明度を表します。
右方向にいくに従って彩度が高くなります。
彩度のある色は白と黒から離れていきます。
このような明度と彩度の関係が全ての色相についても同様です。
無彩色
色味の無い白から黒の範囲を言う。即ち、400nm
~700nmの各波長域のエネルギーがフラットなものが無彩色である。
エネルギーが強いのを白、ほとんど無いのを黒という。
有彩色
色味のあるもの。即ち、400nm
~700nmの各波長域のエネルギーに凹凸があるもの。突出した波長域が狭くなれば彩度は高くなる。
エネルギーが強くなればあかるくなる。
色 環
左図は色環と呼ばれるもので、色相を円形に表しています。
光の三原色B、G、R、色材の三原色Y、M、Cの6色とそのあいだの色で12色を配置してあります。
6色の方にはグラフが付いています。これは三本の棒グラフを
なだらかにした波長域の曲線グラフです。
Yの曲線グラフと180°の位置にあるBの曲線グラフを見て下さい。
Yの高いところがBでは低く、逆に低いところでは高くなる。
ちょうど鏡面の関係です。性質のまったく逆な反対色です。
これを補色の関係と言います。
補色の関係にある二つのグラフを足して見てください。
いずれも山がなくなりフラットになるのが予想出来ます。
このことは、補色の色同士を混ぜると濃いグレーになることが分かります。
色環の便利なところは色の性質がどれだけ違うのかを
判断できるところにあります。
■色相調和について
絵を描く者にとっては「色彩調和」は関心の高いジャンルだと思います。
音楽の音と同じように色にも和音があると考えます。
音楽の音階で8度違うのを1オクターブと言います。音の波長の長さが2倍か2分の1の音を指します。
色も音のように波長で形成されています。その波長のある倍数が心地よく感じるのです。これが調和です。
色の濃度はフォルテとかメゾピアノなど強さの違いでしょう。
絵のタッチはリズムとかアダージョとかの流れの速さと一致すると思います。
色相調和
色相の調和は前出の色環の角度から求めることが出来ます。
主調色とそれに対応する目的にあった色を色環の角度で探します。
◆二色配色
- 0°モノクローム
- 30°アナロガス
- 60°セクスタード
- 90°クワドラド
- 120°トリオ
- 150°近値補色
- 180°補色
お互いの色の角度が大きくなるに従って、性格の差が大きくなり、強調し合います。
90°は調和しない色と言われています。調和はしないが不美とは言えません。
作画時に留意するのは色相の調和する角度だけでなく、その色の量が重要です。
例えば、赤と緑の補色を考えてみて下さい。50%、50%にするのですか。緑を多く赤を少なくするのですか。
赤と緑の境界線は変化が強くハレーションを起こします。境界に白などの無彩色を配置し、
ワンクッションの工夫の必要な時もあります。
◆三色配色
- オブリガード・・・補色2色+60°の三色の配置
- ポルタメント・・・隣り合う 30°の三色の配置
◆四色配色
- 補色対・・・・・2組の補色が60°の角度で交差した四色の配置
- 完全四色・・・1組の補色に+その一方の色に対して60°左右に二色を配置
以上のように数字で角度を書くと、この正確な角度ではないと色は調和しないと考えてしまいがちです。
絵を描いているときに、一々角度の正確さなど気にしていません。
ですが頭の中では色の色環での位置を意識して進めています。
矛盾するようですが、むしろ曖昧さの中に絵の良さがあるように思えます。
一般的に、色相の数が増えると派手になっていきます。ですは主張が弱まっていきます。
色が豊かに感じる画面は色相の数よりも、階調とか彩度の変化によるものが大きいと思っています。
明度調和
明度調和は反射率の数字のステップの中にありそうです。
明度調和は、調和と言うよりは明快さ、軽快さ、切れの問題ではないのだろうか。
調和という関心事はむつかしい。
調和させるには上記のことを頭の隅に入れ、明度対比、彩度対比を考えながら、
出来上げっていく自分の絵をみて判断し、自分の感覚を信じる他はないように思える。
この表は縦横ナナメ合計が15です。
明度の階調を9段階に分けて
各明度ごとに左の数字を当てはめます。
この表は縦横ナナメが調和すると言う説があります。
マジックスクエアと呼んでいます。
明度調和は、調和と言うよりは明快さ、軽快さ、切れの問題ではないのだろうか。
調和という関心事はむつかしい。調和させるには上記のことを頭の隅に入れ、明度対比、彩度対比を考えながら、
出来上げっていく自分の絵をみて判断し、自分の感覚を信じる他はないように思える。
■混色法について
舞台照明やテレビの製作に携わる人以外は、光源の混色の必要性は薄いでしょう。色材の混色について説明します。
混ぜる場所と方法
<パレット上で絵の具を混ぜる>
任意の絵の具をパレット上でナイフや筆で混ぜ合わせる方法。
絵の具も粒子(点)ですので、次の「キャンバス(紙)の上で色の点を配置する」と同じではないかと思われますが、
絵の具も粒子の大きさは、人間の目の分解能以下ですので、異なります。彩度、明度が落ちます。
<キャンバス(紙)の上で色の点を配置する>
印象派のスーラがおこなった点描画法と同様です。
原色に近い色を点のタッチで描くことで、目の中で色を混ぜる方法
この方法だと色の彩度、明度が落ちません。
タッチとしてでなく、マチエールのデコボコを利用して同じ効果うを得る方法もあります。
下の絵の具が完全に乾いてから、そのデコボコの山のてっぺんや谷に入れることで、
絵の具として混ぜらずに目の中で色を混ぜるのです。
オフセットなどの印刷は網点を用いていますが、紙の上で色を重ねる方法です。
網点の点は大きさを変え階調を作るものです。
<キャンバス(紙)の上で色を重ねる>
特に、透明絵の具で用います。絵の具を混ぜたのや、点を配置する混色とは一味違った深い色が出せます。
透明水彩の魅力はここにあります。
肌色を塗っても、人間の肌はなかなか肌色になりません。
人間の肌は、表皮に覆われ、その下にメラニン色素、静脈、動脈が血液を流しています。
半透明の表皮を透かしそれらが見えて複雑な肌色になっているからです。
絵の具では、透明絵の具を用たり乾性油で覆うようにしたり、工夫を凝らして表現するのです。
無論不透明絵の具でも色を重ねることは大いに行われています。
不透明でも完全に下の色が隠れることは少ないからです。
<キャンバス(紙)の上で絵の具を混ぜる(主に油彩絵の具)>
先に塗った絵の具が乾かないうちに次の絵の具を塗っていきます。混ざる部分と混ざらない部分が出来変化が出ます。
グラデーションを作るときに用います。
混ぜ方が少ないと、ねっちりとした感じになってしまいます。
任意の色を作る
先の色の三原色のところで述べたように、Y、M、Cの三色の混ぜ合わせでどんな色相の色でも作ることが可能です。
なのに何故、絵の具にあんな沢山の色があるのでしょうか?
それは、色材を混ぜていくと濃くなっていき、彩度も落ちてくるからです。鮮やかな色が得られなくなるからです。
彩度の高い色を使いたかったり、混色の手間を省く為です。
絵の具は天然ないし人工の顔料の種類によって色が異なります。様々な絵の具が作られます。
どんな絵の具を使用しようがじゆうです。ですがこれだけは忘れないで下さい。
Y、M、Cの三色でどんな色でも作れることを。
現に、一般の印刷ではこれに墨を加えた四色で立派なカラー印刷が行われています。
Y、M、Cの色に一番近い絵の具を見つけ、それと黒と白の五色の絵の具だけで描いてみるのもいい勉強になります。
絵の具を混ぜる上で重要な認識は、絵の具の色相が色環のどの位置にあるかということです。
試しに持っている絵の具を色環のように輪に並べてみることをお勧めします。
(バーントアンバーはどの位置に並べましたか?)
絵の具どうしを混ぜるとき二色の色環での角度がポイントとなります。
角度が狭ければ、彩度はあまり落ちません。角度が広がる程彩度が下がってきます。
ナチュラルな絵を描くなる、少々角度の広い混色がよいかと思います。
ある色相を得る混色ならば二色の絵の具だけで可能です。明るさを変えるならそれに黒か白を混ぜます。
(黒か白を混ぜたものを清色灰色を混ぜると濁色といっていた時期もありましたが、今は聞きません。)
黒の絵の具は使わない方がいいと言う人もいます。確かに陰影をつけるのに黒を多用すると汚くなることが多いようです。
その辺に留意しながら黒は使いましょう。
三色以上の混色は色相と濃度が微妙に変わるぐらいなので、構えて三色以上の混色を覚える必要はありません。
シャドー部を暖色系にするか、寒色系にするかの絵の具を決めておくのもいいかもしれません。
バーントシェンナとかコバルトブルーとかに。
色環を頭に思い浮かべながら、色の三属性である、色相、明度、彩度はどうなるかを考えて混色して下さい。
今は研究され混色はほとんど自由だが鉛+硫黄を混ぜると硫化鉄となり黒くなったりするものもある。
絵の具の表示や、メーカーが出しているパンフレットをみておくといい。
■色の余談
色彩の色と、色気の色とだんな関係があるのだろうか。色の字を辞書で調べてみた。
色の漢字の上のクは人を表し、下の巴は巳が象を飲み込んでいる様をあらわしているそうだ。
ゾウを飲み込んだへびに人が跨ってるってどんなこと?訳が解らない。
解らないと想像してしまう。人が巴に絡み合ってセックスをしてるから色事と言うのかなと。
「色即是空、空即是色」般若心経の有名な一節です。ここのも色が出ています。
ここでの色は色体のことで、この世の表面的な現象面をさしています。
色事の情事のあとは空しいって言ってるのかな?
色彩の色は現象的な事柄であって、移ろいゆく恒常的なものではないと言ってるのかな?
固有色に囚われるなと言っているのかな?
(状況の固有色・・・イチゴは赤い。雪は白い。そのももが持っている固有の色を固有色という。
光の無いところで雪は黒。レモンのそばに置かれたイチゴはレモンの反射光でオレンジ色に。状況によって色は変わる)
いずれにせよ干からびて、色気が無いよりは、ほのかに色香が漂っている方が魅力的だ。
人間の目には可視光線外の波長域の電磁波は見えない。X線も見えたらいいのに。
あの子のヌードが見えるから。まてよ、X線だとその先の骨しか見えないか!?
人間には暖かさとして肌で感じる赤外線は、ある鳥にとっては野鼠を見つけるための可視光線だ。
その種にとって有用な機能が備わっていく。
可視光線しかみえないのではなく、可視光線しか見えなくしているのだ。自然って良くできてるものだ。
わき道のわき道。
人の体液は海水の成分に極めて近い。その昔、海に棲んでいたと容易に想像できる。
その名残で、女性の月経は月の満引きの28日周期にやってくる。
狼が、満月の夜に吼えるのも頷ける。
こうなると、星占いも少しは信じてみようかなと思ってみてもいいだろう。
背丈程の草の生えるカリハラ砂漠を南下して行く過程で、類人猿が人類になったそうな。
一番無防備な時はセックスをしてるときである。
外敵の接近をいち早く察知するには、立って草の上に首を出す必要があった。
直立二足歩行のはじまりだ。結果、第二の頭脳と呼ばれる手が使えるようになった。
直立二足歩行は、脳が大きくなっても妨げる重力の影響を和らげるようになった。
人間は雑食動物です。穀物、肉、野菜。
人間の歯は雑食用に出来ている。臼歯が穀物。八重歯が肉。前歯が野菜が食べやすい。
三種の歯の数の比率で、穀物、肉、野菜を食べるのが理想です。
食べる量の方はどうなのか?腹八分と言うのはおかしい!?
体の構成から学ぶことは多そうだ。
人間の左右の手の指は10本。そんな訳で今の算数は10進数になった。
指が12本だったら12進数が一般的になって、もっと数学が発展しただろうと言う人もいる。
でも、コンピューターの2進数でも結構発展しているのでは?
取り留めのない話でゴメンナサイ。ひとまず終わります。